概要
今回はGraspyというキャリア形成プラットフォームGraspyの開発エンジニアの
もり(@frostndays)とよね(@keiuwk0614)が執筆しました。
Graspyの技術スタックとして
フロントエンドはNuxt.js、サーバサイドはLaravelを使用しております。
今回は、LaravelでつくったAPIをβ版リリース直後にリファクタリングした経緯や
そのメリット、デメリット等を紹介させて頂きます。
リファクタリングした経緯
リファクタリング前は、一般的なWebアプリケーションで採用されることが多いMVCパターンを採用していました。
MVC(Model View Controller)とは、リクエストに応じて処理を振り分けるコントローラ、画面やレスポンスなどの情報を出力するビュー、ビジネスロジックをモデルとして、3つの責務に分割したアプリケーション設計パターンです。
しかし、開発していく中で開発者のファイルの切り出しの粒度であったり、ControllerとModelの処理の責務が煩雑になり、Controller、Model共に肥大化していき、所謂fat controller、fat modelになっていました。
これを解決するために、controllerとmodelの間にservicesを挟み、controllerに書かれていたビジネスロジック等を、servicesに切り出すことも考えましたが、結論それを行ってもcontrollerの処理がservicesに移行するだけで、ファイルの肥大化の根本的な解決になりませんでした。
ADR(Action-Domain-Responder)
そこで、今回参考にしたのは、最近発売されて話題になっていたLaravel本
PHPフレームワーク Laravel Webアプリケーション開発 バージョン5.5 LTS対応
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に記載してあり話題になっていたADRというAction、Domain、Responderの3つの責務から成り立つアプリケーション設計パターンを参考にすることにいたしました。
ADRパターンとは
A : Action
MVCで言う所のControllerに当たるレイヤー。Controllerが複数のActionに対応するのに対して、1Action1メソッドとして独立させ、1つのActionとルートを対応させることで複雑化を防ぎシンプルにHttpリクエストが扱える。
D : Domain
モデルとドメインの2つに大きな違いはなく、レスポンダが出力するためのビジネスロジック等を記述する。モデルの代わりにドメインを当てはめることで、データベース=モデルの概念から、ドメイン駆動設計パターンを考えてもらうことを意図している。
R : Responder
レスポンダは、モデルから返却される値によって表示方法の変更、HTTPステータス変更など、プレゼンテーションロジックをコントローラ・アクションから切り離し、コンテンツ情報だけでなく、HTTPレスポンスを構築する処理を担当する。
ADRならぬADM(Action-Domain-Model)
しかし、今回はLaravelはAPIサーバーとしてしか使用していません。そのため、ADRパターンのResponderに値するレイヤーではviewをreturnしたりするような処理を行なっておらず、Jsonをreturn するだけのシンプルな構造になっていることから、Responderレイヤーは導入しませんでした。また、Modelディレクトリの移行も既存APIのリファクタリングの難易度が高かったため残すことにし、下記のようなADM(Actions-Domain-Model)のアプリケーション設計パターンを採用することにしました。
A : Action
- 上記ADRのaction同様に1Action1メソッド
D : Domain
- service : ユースケース、ビジネスロジック
- repository : Modelからデータ取得処理、データ加工
M : Model
- 各テーブルの定義情報、リレーションのみ、ロジックは書かない
これにより
Action : Domainのみ知っている
Domain(service) : Repositoryのみ知っている
Domain(Repository) : Modelのみ知っている
という以下のような依存関係にしました。
action → Domain(Service) →Domail(Repository) → model
リファクタリングしたことによるメリット、デメリット
メリット
問題となっていた一つのファイルの肥大化が抑えられ、整理された小さな機能の集まりとして、それぞれの責務が明確されコードの可読性が上がった。
デメリット
1Action1メソッドのためファイル数が多くなり、それに伴いコード量も比例して増えてしまう。ドメインをどの粒度で分けるか悩む、あまり大きな括りで分けると結局serviceが肥大化してしまう。
今回は、β版リリース直後にAPIのリファクタリングをするべきかそうでないか、迷いました。しかし、今後2次リリースに向けてもっと機能が増えて開発してから行うよりも、今やらなければ後からもっと技術的負債が残ると感じ、今後のメンテナンスや保守運用を考え、リリース直後にリファクタリングすることを決め、しっかりリファクタリングスケジュールを組んで実施しました。
今回ADRを参考にADMというアプリケーション設計パターンにしたのですが、私たちのように元々MVCで作ってしまいModelを削除しDomainに切り替えるのが難しくなってしまっている方には、そこまでリファクタリングのリスクもなくController、Modelの肥大化が抑えられるので、ADMを是非参考にしてみてください。
最後に
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